2013/12/25

『貝がらの森』展のご報告

 いよいよ本年も残り僅かとなりましたが、11月30日〜12月6日まで行われた、毎日新聞(大阪版)連載記念『貝がらの森』展の様子をアップします。和歌山のたくさんの友人たちにお世話になって実現した、和歌山初の個展でした。久しぶりにお会いする方、初めてお会いする方もいらっしゃって、新しい出会いもたくさんありました。おかげさまで大盛況のうちに終了いたしました。改めてお礼申し上げます。
 次回の和歌山行を楽しみにしています。


なかひら まい
2013年12月25日

会場入口



挿絵カラープリント展示風景


描き下ろし絵画展示風景

小さな絵本

「キツネになった夢」コースターは完売

『スプーの日記』シリーズと『名草戸畔』コーナー
絵画作品(販売済)

絵画作品(販売済)

絵画作品(販売済)

絵画作品(販売済)
絵画作品(販売済)
絵画作品

絵画作品
会場の わかやま じゃんじゃん横丁




2013/11/25

個展の開催にあたってメッセージ


 このたびの個展の開催にあたって、メッセージを書きました。ご一読いただければ幸いです。会場で皆様にお会いできるのを楽しみにしています。



毎日新聞連載記念『貝がらの森』展 開催にあたって

  このお話のなかで、主人公の夢は子どものころ、白昼夢のような世界に迷い込んでキツネになってしまいます。ファンタジーの世界では、人でないものになることは「異界の者」になり、異界を視る目を手に入れたことを表しています。ファンタジーとは、イメージそのものが生きて動く世界です。物理的な日常という現実とはまた別の現実世界の表現であるといえます。日常とは、わたしたちが勝手に「現実である」と思い込んでいる世界ではありますが、それは世界のほんの一面でしかありません。

 主人公の夢は、キツネになることで日常を離れ、お化けの世界の「内側」に入り込んでいきます。これらのお化けやカミサマたちは、山や木々や海や太陽の大いなる自然を畏れ敬う心がお化けという形をとって顕れたものではないかと思います。

 この物語を描くにあたって、名草戸畔(なぐさとべ=古代名草の女性首長)について調べるため、何度も和歌山に足を運んだことが、わたしにとって大きく影響しています。古代名草の人々が信仰していたとされる名草山のまわりには、明治以前まで山を取り囲むように15社もの「中言神社」が建っていました。一部の神社は今も現存します。目には見えないけれど名草山には精霊がいて、神社はそれを守っているかのようです。きっとお化けや妖怪もたくさんいることでしょう。こうした世界を本の中ではなく、実際のこととして体感できたことは大きな幸せでした。

 人は、「日常」という一面的な現実ばかりに囚われていると、心が疲れてきます。ところが不思議なことに、お化けと遊んでいると心がスッと「抜けて」楽しくなってくるのです。心にはそういう働きが内在しているように思います。わずかな力ではありますが、これからも、そんなお化けのお話や絵を描いていけたらと思っています。

 このたび、『貝がらの森』を連載させていただいた毎日新聞社、素敵な会場を提供してくださった「じゃんじゃん横丁」、いつもたくさんお力をいただいている和歌山の友人たち、そして名草の精霊とお化けたちに、心より感謝を申し上げます。


なかひら まい


2013/11/07

『貝がらの森』展 のお知らせ


『貝がらの森』文・絵 なかひら まい(  毎日新聞大阪版11月1日~30日)連載を記念して、和歌山市内で個展を行う運びとなりました。
 和歌山は海と山に恵まれた自然の宝庫。『貝がらの森』に登場するお化けたちがたくさんいそうなところです。和歌山には、本の取材(『名草戸畔 古代紀国の女王伝説』)で何度も訪れました。その経験が、この作品に生きているように思います。そんな和歌山の地で個展を開く運びとなり嬉しい限りです。

 関西在住のみなさま、お時間がありましたら、ぜひ、会場に遊びに来てください。

 詳細は以下のとおりです。

毎日新聞(大阪版) 挿絵付き童話連載記念
『貝がらの森』展
なかひら まい
会場:わかやま じゃんじゃん横丁
   〒640-8125 和歌山市島崎町3-27 
会期:1130()125()
時間:12:3020:00

連載童話の挿絵(カラープリント)の展示、描き下ろし絵画、ハンドメイドの【小さな絵本】シリーズの展示販売などを行います。

なかひら まい 公式ウェブサイト

※最新情報は、FacebookTwitter、ブログでも随時更新します。

会場に関するお問い合せ
珈琲もくれん
TEL 073-427-4200

このイラストは、毎日新聞(大阪版)連載『貝がらの森』第7回の挿絵です。


2013/11/05

『貝がらの森』連載スタート

 毎日新聞(大阪版)にて、11月の1ヶ月間の連載童話がはじまりました。本日で連載5日目を迎えました。毎日jpのウェブサイトにて、全国から読むことができます。以下のアーカイブサイトをご覧ください。

http://mainichi.jp/feature/yonde/

タイトル:『貝がらの森』
作・絵 :なかひら まい
連載期間:11月1日〜30日
媒  体:毎日新聞大阪
地  域:近畿(三重の一部除く)・北陸・中国(山口除く)・
四国

2013/10/18

毎日新聞大阪版・連載童話『貝がらの森』のお知らせ

「毎日新聞大阪」にて、挿絵付き童話の連載させていただくことになりました。11月の1ヶ月間になります。関西圏の方は、ぜひ、チェックしてください。
 ウェブサイトで全国から読むことができます。連載が始まり次第、お知らせします。

タイトル:『貝がらの森』
作・絵 :なかひら まい
連載期間:11月1日〜30日
媒  体:毎日新聞大阪
地  域:近畿(三重の一部除く)・北陸・中国(山口除く)・
四国




2013/10/16

アートラッシュ『絵本展』のお知らせ

 いよいよ本日より、アートラッシュの『絵本展』がスタートしました。写真は展示風景です。素敵な展示に仕上がりました。
 描きおろし絵画とともに、小さな絵本新作『モジャの森』を展示販売します。サイン本は5冊限定です。お早めに。
 みなさま、ぜひいらしてください!
 

タイトル:アートラッシュ企画展vol.200『絵本展』
会  期:10月16日(水)〜28日(月)
     AM11:00〜PM8:00(月曜5時まで 火曜定休)


参加作家:飯田有記(ディップアート)/上西慶子(絵画)/ささきりえ(造形)/なかひらまい(絵画)/Bird Deco(造形&絵画)/橋本岳到(絵画)/5※SEASON(絵画)/藤沢芳子(絵画)/もうひとつの究所(パラパラ漫画)/rien(陶芸)












2013/10/13

【information】描きおろし絵画&小さな絵本新作『モジャの森』


 代官山アートラッシュ企画展『絵本展』にて、描きおろし絵画&小さな絵本新作『モジャの森』を展示販売いたします。代官山、恵比寿方面にお越しの際は、ぜひ遊びにいらしてください。
 新作の『モジャの森』は、アートラッシュ販売分のみ、サイン付きです。
タイトル:アートラッシュ企画展vol.200『絵本展』
会  期:10月16日(水)〜28日(月)
     AM11:00〜PM8:00(月曜5時まで 火曜定休)
参加作家:飯田有記(ディップアート)/上西慶子(絵画)/ささきりえ(造形)/なかひらまい(絵画)/Bird Deco(造形&絵画)/橋本岳到(絵画)/5※SEASON(絵画)/藤沢芳子(絵画)/もうひとつの究所(パラパラ漫画)/rien(陶芸)




2013/10/06

【information】『Art in 龍神村』 作品出展のお知らせ

 『Art in 龍神村』にて、作品を出展させていただくことになりました。
 和歌山県田辺市龍神村在住で友人のイラストレーター、溝端秀章さんより、お誘いいただきました。
  溝端さんは、動物のイラストレーションや、新聞紙で生き生きとした動物の造形作品を作っている作家さんです。生き物を丁寧に観察して作られた動物たちの作品に感銘を受けました。
 わたしの作品は、溝端さんの展示コーナー「mizoo & his friends」に展示されるそうです。ポストカードサイズの小作品を展示していただきます。素敵な展覧会にお声がけいただき大変嬉しく思います。お近くの方は、ぜひ、龍神村に遊びに行ってください。

タイトル:『Art in 龍神村 龍神国際芸術村開村30周年記念芸術祭』
会  期:2013年10月12日(土)〜10月21日(月)
会  場:和歌山県田辺市龍神村 旧甲斐ノ川小学校



2013/09/17

【information】代官山アートラッシュ『絵本展』他

今後の予定をお知らせします。

☆今年も、代官山アートラッシュ企画展『絵本展』に参加させていただきます。


タイトル:アートラッシュ企画展vol.200『絵本展』
会  期:10月16日(水)〜28日(月)
     AM11:00〜PM8:00(月曜5時まで 火曜定休)
参加作家:飯田有記(ディップアート)/上西慶子(絵画)/ささきりえ(造形)/なかひらまい(絵画)/Bird Deco(造形&絵画)/橋本岳到(絵画)/5※SEASON(絵画)/藤沢芳子(絵画)/もうひとつの究所(パラパラ漫画)/rien(陶芸)

☆「毎日新聞大阪」にて、挿絵付き童話の連載させていただくことになりました。11月の1ヶ月間になります。


タイトル:『貝がらの森』(仮)
作・絵 :なかひら まい
連載期間:11月1日〜30日
媒  体:毎日新聞大阪
地  域:近畿(三重の一部除く)・北陸・中国(山口除く)・四国




 

2013/08/30

『赤猫リブ・リビィの ”強くなれる賢者の言葉”』イラスト制作

【イラスト制作】
 お仕事のご紹介です。
 『赤猫リブ・リビィの ”強くなれる賢者の言葉”』(扶桑社・刊)のイラストを描かせていただきました。9月10日の発売になります。とても素敵な本に仕上がりました。ぜひ、ご覧になってください。

言葉:赤猫リブ・リビィ
イラスト:なかひらまい
デザイン:川名潤(プリグラフィックス)
プロデュース・構成・編集:石黒謙吾
編集:小林祐子
制作:大久保かおり(扶桑社)
   ブルー・オレンジ・スタジアム

『赤猫リブ・リビィの ”強くなれる賢者の言葉”』


2013/08/07

ヴィレッジ・ヴァンガード渋谷宇田川店にて【小さな絵本】をお取扱中!

 ヴィレッジ・ヴァンガード渋谷宇田川店にて、小さな絵本をお取り扱いいただけることになりました。ありがとうございます。

 渋谷センター街を通り抜け、MACの先に看板があります。ビルの地下1Fです。 『黒猫レモン』『蝶とストロベリー・ナイト・パーティ』『不思議な真珠』『ひとりぼっちのねこ』の4作です。 渋谷へお寄りの際はぜひ、お立ち寄りください。






2013/06/02

和歌山来訪日記02:名草戸畔お礼詣りの旅〜01

 時の経つのは早いもので、5月5日に行われた講演会、「なかひら まい・小野田寛郎 名草戸畔を語る」から、ひと月近くが過ぎた。当時は、お世話になった友人たちと交流するためしばらく和歌山に延泊したので、東京に戻ったのは8日だった。遅くなったが、延泊のレポートを書きたいと思う。

 5日の講演会は昼間に終了した。夜は、友人たちと食事会の予定だった。会場の関係上、紀ノ川をのぼり内陸の方へ移動した。夜まで少し時間が空いたので、「根来寺」に寄ることになった。「丹生都比売神社」や高野山へ行ったことはあるのだけど、「根来寺」は初めてだった。夕方なのでお寺は閉まっていたけど、ダイナミックな境内に驚く。中世以降の寺であるが、たしか古墳や奈良時代以降ぐらいの遺跡の上に建っているはず。
 鐘の後ろに、鬱蒼とした黒い森があった。すっと飲み込まれてしまいそうな森だ。「夜になったら怖いよね」誰ともなくそんな声が上がった。今思えばこの森が、名草のお礼詣りの旅の「入り口」だったのかもしれない。


 翌日、6日。気持ちのよい五月晴れの朝。わたしは友人の車の同乗し、小野田の「宇賀部神社」に向かった。和歌山は2年ぶりだった。さすが、地元の友人だけに、車はまったく迷わず「宇賀部神社」に到着。懐かしい、のどかな田んぼと緑の風景が目の前に広がった。6年前、初めて神社に訪れた時も5月だった。当時と同じように、鳥居のところに鮮やかなピンクのツツジの花が咲き誇っている。変わらずに在り続ける神社と緑と青い空を見ると嬉しくなった。
 わたしは講演会が無事に終了したことに感謝して、お礼のお詣りをした。友人たちにも、講演会に際して大変お世話になった。みなも、それぞれの思いを込めてお礼詣りをしたようだ。おこべさんでは、取材中からお世話になっている宮司様にもご挨拶ができた。


 つづいて車は、おはらさんこと「杉尾神社」へ向かった。「杉尾神社」は、高倉山の中腹にあるため、長い石段を上る。少しかしいだ古い灯籠も以前と変わらず佇んでいる。ようやっと上って拝殿にたどり着く。神社は、拝殿の奥に壁がなく、山肌が見える作りになっている。拝殿のまわりに青々繁る高倉山の緑もなつかしい。



 続いて「千種神社」へ。杉尾から千種への道は、そうとう分かりにくい。何度も迷った記憶がある。ところが車3台は、ほとんど迷わずに神社へ至る細い道に入っていく。運転している友人のYさんが、玄人はだしの古代史研究家であるゆえであろうが、あまりにスムーズなので驚いた。観音様を抱きかかえて成長した楠のご神木も、前と変わらずに立っていた。

 驚くことに、午前中に3つの神社をすべて回ってしまった。Hさんは、「近くに住んでいるのに、3つの神社を一度にお詣りしたことはないのよ」と言っていた。たしかに、近くにあると思うと、なかなか行かないものだ。友人たちにとってもよい機会だったようで、ホッとした。
 つづいて車は安原の道端で停止。ここからは道が細すぎて歩いてゆかねばならない。皆でぞろぞろ田んぼの間の細い道を往く。遠くに名草山が見える。


 たどり着いたのは竹藪。そこには、小さな池と祠が鎮座していた。地元の方でも分かりにくい場所にあり、Yさんしかたどり着けないという噂の通称「おそわさん」である。池と山の精霊を祀る祠であろう。諏訪を思わせる「おそわさん」という名称から、出雲族との関連を想像させるが、精霊はそれ以前から存在していたように感じられた。目に見えない精霊たちの神聖な場所であった。


 続いて一行は、Yさんのお計らいで、「安原八幡神社」にて宮司様による正式参拝をさせていただいた。土地の人でない、わたしのような者が、このような機会に巡り合えるとは、ありがたいことだった。参拝の後は、神社で昼食のお弁当をいただいた。中世より3月や5月の節供に行われてきた直会そのものであった。貴重な体験をさせていただき、この場をかりて感謝申し上げます。
 名草戸畔の本には書いていないが、名草地方には「八幡神社」がたくさんある。理由は、次の通り。戸畔(女性首長)の時代を過ぎたあと、紀氏が台頭してくる。「八幡神社」の創建にはその紀氏が関連していると思われる。京都「石清水八幡宮」の宮司家が紀氏であることは有名だ。八幡宮関係の紀氏は「日前神宮」「国懸神宮」の「紀國造」ではなく、中央でも活躍した武内宿禰を祖とする「紀朝臣」の流れだ。つまり、名草の末裔である。

 続いて、Yさんのご案内で、武内宿禰ゆかりの地に赴いた。宿禰が産湯に浸かったという伝説の井戸や神社だ。名草戸畔より時代が下るという理由で、知っていたのに一度も言ったことがなかった宿禰ゆかりの地を拝見できて嬉しかった。井戸の小屋を外から眺めているとYさんは小屋の中に入り、おもむろに井戸のフタを開けた。氏子さんの特権である。中を覗きこむと水が見える。本当に井戸だ。いつからこんな伝説が生まれたのだろう、宿禰は本当にここに来たのだろうか。井戸には、不思議なリアリティがあった。とくに、武内宿禰が名草の末裔であるとわかっていると、余計にリアルに感じられた。


 一行は、晴天に恵まれ、まだ日が高かったので、吉原の「中言神社」に出かけた。中言の総本山である。今回のお礼詣りに、3つの神社だけでなく、吉原まで回れるとは、嬉しい限りだ。なつかしい境内に参拝し、子供たちが作った安原の伝説の絵本を眺めて、しばし愉しい時間を過ごす。



 Yさんが、せっかくだから世話人のMさんを捕まえようと、何度か電話をしていたが繋がらなかった。ところが、しばらく神社で遊んでいると、道の向こうから、自転車を引いたMさんがやって来くるではないか。一同、大喜び。Mさんは、嬉しそうに誤字を修正して新しく刷りなおした神社資料を持ってきてくれた。神社には、昨年の夏から新しい看板が立っていた。そこには、神社資料にある、「中言神社」が名草戸畔と関係するであろう、という記述が記載されていた。戦時中であれば考えられないことだ。
 名草戸畔伝承は、もう世にはばかるものではなくなった。昔のように、愛される物語に戻ったのだと思う。


 日が暮れる前に、まだ少しだけ時間があった。お願いして、最後に「浜の宮神社」に連れて行ってもらった。「浜の宮神社」の奥宮は、岩肌を背後に鎮座する小さな祠である。岩そのものがご神体だ。ご祭神は「初龍姫大神」。人ではなく自然の精霊だと思う。とても神聖な感じのする場所で、わたしはここがとても好きなのだ。


 神社のそばには、美しい和歌浦の海が広がっていた。何千年も前から、この海と空と太陽と風は、変わらずに存在しているのだ。


 あまりにも密度の濃い6日のお礼詣りはこれにて終了。

2013年6月2日
なかひら まい 拝